天草へ(その13)
国道389号線から十三仏公園への分岐を右折してしばらく走ると左手に2体の白い仏像が見えてくる。
魚籃観音(左)と招魚観音(右)
十三仏堂前にて
背後には白鶴浜が拡がっている
【お堂の前に設置された案内看板より】
十三仏堂建立の由来
ここ十三仏堂は、明治四十年(陰暦三月二十日)願主小崎龍潤の建立に関わるものである。
龍潤は健康全からず、ひたすら神仏のめい助を仰ぐため四国巡拝の志を興し、高野山、京都と、あらゆる神社仏閣を巡礼し帰郷の途次、十三仏の尊像を求め当地に建立を発願したものである。当堂は、四国八十八ヶ所の札所でもあり多くの人々の信仰が絶えないところで、例年四月二十一日の縁日には遠くからの参拝者でにぎわう。
十三仏は初七日から三十三年忌までの三回の忌日に行う追善供養に配した仏で、『十五供』に基づくもので室町時代に、この十三仏供養が普及したものといわれている。
国立公園の中でも随一の絶景地、天草西海岸の突端であるこの地に建てられたところから付近一帯を十三仏と呼ばれているが、十三仏がそのまま地名になった例は全国的にも珍しいとされている。
十三仏堂内部の様子
【案内看板より】
十三仏(じゅうさんぼとけ)さまの鎮座説明
①不動明王(初七日)
火炎で汚れを焚き浄め、衆生を守る。
②釈迦如来(二七日)
悩み苦しんでいる人を悟りの境地へ導く。
③文殊菩薩(三七日)
智の剣で災難を断ち、普遍の知恵と悟りを導く。
④普賢菩薩(四七日)
理知と慈悲の徳によって永遠の幸福をもたらす。
⑤地蔵菩薩(五七日)
人々を苦から脱けさせ、寿命を延ばしてくれる。
⑥弥勒菩薩(六七日)
いかにして衆生を救おうかと思惟する姿を表す。
⑦薬師如来(七七日)
病苦や災いから救い、安楽を与え衣食を満たす。
⑧観音菩薩(百ケ日)
大慈大悲の徳があり災難苦難から救ってくれる。
⑨勢至菩薩(一回忌)
全ての苦難を取り除いてくれ、光明をもたらす。
⑩阿弥陀如来(三回忌)
平安・幸福を与え、来世をも救ってくれる。
⑪阿閦如来(七回忌)
成仏して東方世界に住し、極楽浄土で説法する。
⑫大日如来(十三回忌)
宇宙の根源を司り大いなる繁栄を授けてくれる。
⑬極空菩薩(三三回忌)
衆生の求めに応じ現在未来の利益を授ける。
本尊は案内板での解説のような配列になっていないので実際はどなたがどの仏様なのかわからない。
ガラス入りの額縁なので反射してやや見にくいが左側が明治40年30歳当時の小崎龍潤氏なのだろう
十三仏堂からほど近い場所にある展望スポット
断崖の高みから足元の天草灘を覗き見る
【案内看板より】
十三仏崎と白鶴浜
この高台から天草西海岸の代表的な自然景観が一望できます。眼前には、紺青の天草灘が果てしなく広がり、南には、大ヶ瀬小ヶ瀬の奇勝、北には、名勝及び天然記念物妙見浦の奇岩の連なり、更に左手後方には、白き優美な白鶴浜、そして足下をのぞけば引き込まれそうな断崖、いずれも海のやさしさとたくましさに満ちあふれた県内屈指の海岸美です。
この場で歌人与謝野寛(鉄幹)、晶子夫妻は、壮大な落日と素晴らしい磯の風情をそれぞれ讃え、その歌碑が近くに建立されています。また、付近には、四国八十八ヶ所の札所でもあり、多くの人々の信仰が絶えない十三仏の御堂があります。
熊本県(観)
与謝野鉄幹夫妻の句碑がある展望テラスから妙見浦方向を望む
高浜灯台方向