徘徊する魂   Traveling Alone ! 

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阿淡汽船待合所跡

鳴門市撫養町の岡崎バス停付近に残る「阿淡連絡汽船」の旧桟橋跡と待合所の廃墟。年末も押し迫った12月29日に来訪

件の廃墟は防波堤の向こう側にある。
桟橋に続く防波堤の開口部は鉄製のゲートによって閉ざされ、現在は立ち入り禁止

T字型に伸びたコンクリート桟橋左部分が崩れかけていて、一昨年4月の来訪時より着実に進行する風化を感じられる

待合所の陸屋根に残る鉄製の手すりも、海風と塩水による侵食によりか細くなり欠損個所が増えている。
前回同様、ここから登って防波堤の上を待合所に向って歩いて行いていく

中に入れそうな場所を探して裏手(海側)に回ってみる。
ここから降りれば窓枠を乗り越えて内部に入れそうだ。1m50cmほどの高さから飛び降りる

ベランダ床でゴミと一緒に朽ちかけているブリキの案内看板。
○○たたみ店の電話番号は局番がまだ一桁の年代物だ。
ここ「阿淡汽船待合所」前には鳴門旅館他、数軒の宿泊施設があったようだが今では跡形もない

所々陥没しているコンクリートの床面を慎重に歩き、アルミサッシの窓枠越しに内部をうかがう

侵入者によると思われる破壊がおびただしい床板の上に注意深く降り立つ

こちらは発券窓口の内側になるのだろう。
年代物の無線及び放送設備の上に、無線局免許状が掲げられたまま放置されている

無線局免許状より】

免許人の氏名又は名称
阿淡連絡汽船株式会社

無線局の種別
海岸局

無線局の目的
海運事業用

運用許容時間
常時

免許の番号
四第463号

免許の年月日
平 3.12.1

免許の有効期限
平 8.11.30まで

通信の相手方
免許人所属の船舶局

通信事項
1.船舶の航行に関する事項
2.海運事業に関する事項

無線設備の設置場所又は移動範囲

(設置場所)
鳴門市撫養町岡崎字二等道路76の2
阿淡連絡汽船株式会社 鳴門待合所 構内

(送受信空中線の位置)
東経 134度 37分 24秒
北緯  34度 10分 50秒

識別番号
あたんなると

電波の型式及び周波数
P3E 158.85 MHz

空中線電力
5W

電波の型式、周波数又は空中線電力の条件
(空欄)

備考
(空欄)

反対側の壁面には神棚と並んで、名札を掛けるよう4本の釘が打ち込まれた運行管理組織板がかかっている

運行管理組織板には副運行管理者・運行管理補助者・陸上作業員のプレートが残存しているが1枚剥落

これ以上見るべきものはなさそうなので待合室側に移動する

待合室側から窓口を眺める。
11月1日から翌4月末まで運行されていた観潮(渦潮見物)便の運賃表と観潮時刻を示す掲示板が残っている

ナショナル(現パナソニック)製の構内放送用スピーカー

本体部分が土に還りかけている「元」灰皿

こちらも風化が進んだソファー。
元々あったものか、廃業後放り込まれたものか判然としない

コンクリート製の防波堤に視界を塞がれているかつては道路に面していた待合室入口のガラス扉。
この建物が打ち棄てられた廃墟であることをもっとも感じさせる風景だ

【ご挨拶看板より】

御挨拶

永い間皆様方に親しまれてまいりました当阿淡連絡汽船は、大鳴門橋開通に伴ない、来る六月八日最終便をもちまして、鳴門福良間定期航路を廃止することになりました。
つきましては、これまでご利用下さいました皆様方に心から深く御礼申し上げます。(淡路島福良)
なお、今後は鳴門公園発着の観潮定期便として再出発致します。
今後共一層のご利用ご愛顧をお願い申し上げます。

お客様各位 阿淡連絡汽船 敬白

待合室壁面に立てかけられたままの「ご挨拶」看板

清酒(超)一級 都美人の文字が大書されたベンチ
都美人酒造株式会社HP

乱雑に廃材が置かれた待合室スペース

風化に破壊が加わって殺伐とした様相の男子トイレ内

桟橋の崩壊部分を室内から眺める