千羽ケ岳頂上からの眺望
西条市内の国道11号線を松山市方面に進行し、中山川に沿うように蛇行しながら峠に向かって延びる桜三里を走っていると、東温市と境を接する手前あたりから深い渓谷の向こう側に鋭く尖った峰が見えてくる。
あの頂上に登って桜三里を見下ろしたら、さぞかしいい眺めだろうと思いながらも、登り口の場所が定かではない。
松山方面へ出かける際には、数度にわたって峰の裏手に位置する相之谷集落の付近をうろうろ歩いてみたりもした。
山登りには興味がなかったので、あの峰が「千羽ケ岳」という名であることも知らなかったが、とくに何もすることがない夜などは、ちびちび酒を飲みながらGoogleMapを眺め、登り口の見当をつけてみるのがここしばらくの楽しみになっていた。
そんなわけで、満を持して今日(3月7日)午後12時を少し回ったころ現地に到着。
ちらちら晴れ間はあるものの、ときおり強い風に乗って横殴りの雪が吹きつけるコンディションの中、登り口と目星をつけたポイントから薄暗い杉林の中に足を踏み込み尾根に向かって登坂開始。
スマホアプリのGPSと、先人により木の枝先や幹に着けられた赤いテープを道しるべにしながら、足場の良さそうな場所を探しつつ植林された杉の木立を縫うように坂を登っていくとようやく平らな場所に出た
枯葉が敷き詰められた地面で苔むした公共基準点標識「松-22」
実に適切な間隔で付けられた目印のお陰で、このあたりまでくると方向に不安を感じることなく先に進むことができる
落ち葉が踏みしめられた獣道兼作業道脇のあちこちの木立の根本付近には猪が激しく引っ掻いた跡が生々しい。
フンの跡も数か所見つけた
急に晴れ間が出たと思いきやまたすぐ薄暗くなって雪が降り始めたりする中を、赤いリボンに従って淡々と歩を進めていく
倒れて朽ちかけた山頂標識
「建設省国土地理…昭和五十五年七月」の文字が読める
三角点を示す赤白標識棒の向こうに幅30cmほどの雑草を踏み分けた痕がある。
時刻は12時50分。
この向こうが目的の断崖と目星を着け、リュックサックに入れて担いできた電気工事用の安全帯と10mほどの長さの麻ロープを取り出し、枯れていない木を慎重に選んで幹にロープを何重にも巻きつけ、わっかの部分に安全帯のフックを引っ掛けて先に進む
右手(東温市方面)には産廃業者オオノ開発により大きく削られた山肌の全貌が確認できる
伊予鉄バスの「滝見橋」停留所がある桜三里食堂跡付近。
食堂跡の建物裏手には千原集落へ延びる細い道がある
石鎚山頂付近で見たのとよく似た枝ぶりの枯れ木が絵になるなどと考えていたら横風に乗って雪が舞ってきた
岩棚の上から真下を覗くが山肌を覆う草木のせいか思ったよりも怖さを感じない