白崎園にて
JR新広駅付近にある「長崎ちゃんめん呉広店」で昼食のちゃんぽんを啜り終わった頃には雨が完全に上がり、わずかな雲の切れ目からはありがたい青空が見えてきた。
雨の心配はもうなさそうなので駐車場でカッパとブーツカバーを片付け身軽になって走りだす。
空に向かって屹立する2本のオブジェに惹かれ立ち寄った下蒲刈島の「白崎園」にて
球状に隆起した足下は釉薬を塗られた大量の陶板で埋め尽くされている
京都出身の陶芸家、今井眞正氏による作品
「生 土・火・知・空・水」
オブジェ上から安芸灘大橋方向を眺める
【碑文より】
遙遙の船路、行く手には今、朝日が昇っている。
心に、明日は母に会えるな、など思っているうち、
朝霧がだんだん晴れて、小舟は織りなす綾波に揺られながら猫之瀬戸を通った。
頼山陽(一七八〇〜一八三二)は江戸時代後期の学者で、父は広島藩儒頼春水、少年時代から詩文の才を示し、十七歳のころには早くも歴史書の執筆に興味をもった。
二十一歳の年、脱藩して罪を得、邸内に閉居された。
しかし、このことがかえって思いのままに読書し、著作に励む機会となり、「日本外史」、「新策」の初稿が成った。
三十二歳のときに京都へ転居、その後全国を遊歴し、文人、学者と交わり多くの詩を残した。また書にも巧みで、多くの逸品を残している。
この詩は、天保元年(一八三〇)六月二十一日、乗甫(頼春風の養子)と共に、竹原から広島に行く途中、橋下の猫之瀬戸を通ったときに詠まれたものである。
平成十二年一月十八日
下蒲刈町