高越山(こおつさん)その2
朱塗りの仁王像。不思議なほどバランスの悪い上半身と下半身のサイズがこの画像からはわからないのが残念。
逵日出典著 八幡神と神仏習合
第一章 神奈備信仰(神体山信仰)と仏教の伝来より抜粋
仏教徒による山岳修行は官僧だけではなかった。
苦修練行する優婆塞(女性の場合は優婆夷うばい)・禅師などと呼ばれる民間の修行者があり、むしろこちらの方が主流で、量的にも質的にも圧倒的多数であった。
彼らは『孔雀明王経』・『薬師経』・『観音経』などの経典に基づき、仏教的呪法を体得し、庶民の要請にこたえては加持祈祷・卜占などをおこなったのである。
彼らの修行は、早くから存在した原始山岳信仰を基礎に置きつつ、雑密(空海が後に真言宗を開いて体系的な密教を確立する〈純密〉以前の密教・道教などの信仰が融合したいわゆる原始修験道(平安時代に独特な山の宗教として成立する修験道に対して、それ以前の山岳修行をいう)というべきものであった。
官僧の場合は許可された期間の修行を終えると官寺(国家が建立し維持する寺院)にもどるが、民間修行者は入山修行と地方遊行を繰り返すのである。
中略
山岳修行者といえば、世人にもっともよく知られているのは、大和葛城山で修行し、後世修験道の開祖と仰がれている役小角(役行者)であろう。
その所伝によると、彼は孔雀明王の呪を用いて山中のさまざまな神や霊を使役したという。(『続日本紀』文武天皇三年〈699年〉五月二十四日条、『日本霊異記』上巻二十八)。後略
本堂手前に役行者が祀られている
石段はかなり急な上に濡れているので滑りやすい。
注意しながら歩を進める。
漂う靄のせいもあるが気分はまさに深山幽谷。
ひび割れた案内看板。
忌部氏(いんべし)の祖神天日鷲神(あめのひわしのみこと)を祭神に戴いている。
- 作者: 逵日出典
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